■ 道路元標について御高説を垂れてみます


 ◆ 道路元標とはなんぞや?

 端的にいえば道路の基準位置を定めた標石。現在では測量の基準点としての三角点などは知られているが、その道路版とでも言おうか。現行の道路法でも道路の付属物として定められており、有名な東京・日本橋の車道のど真ん中に埋め込まれてるヤツなんかはその1例ということになるのかねぇ(現行法での解釈としてこれでいいのか悩み中)。

 で、このコンテンツでの主役とでも言うのが、実質的に大正8年の旧道路法施行令の遺物と化してしまった、市町村の道路元標である。こいつの第9条に「道路元標は各市町村に一箇を置く」と定められたわけで、さぁ大変。各県より元標の位置を定めた告示が出され、日本全国津々浦々、当時1万を優に超える市町村にボコボコと元標を建てることになったわけである。その役割は冒頭の表現を使うなら、各市町村における道路の基準位置を示す標石ということになる。(多少の差はあれど)仕様もほぼ全国的に統一された。さらには市町村合併や町村制施行がある都度、元標位置を定める告示が出たりしているので、けっこうマメにメンテナンスされていたようである。この時代が道路元標が法令的にも整備的にも最ももてはやされた全盛期といっても過言ではない。

 ところが、第二次世界大戦後の現行の道路法のもとで一気に遺物化。先述のとおり、道路の付属物として定めるという扱いは新道路法にも引き継がれたが、施行令では設置についての規定がなくなってしまった。つまるところ、道路元標はタダの「道路の基準位置を示す」物体として存在するだけで、それをどこに置くかという規定がなくなった。この時点で全国津々浦々に設置されていた道路元標のほとんどは「各市町村に1個設置」という根拠がなくなり、道路の付属物とすら認められてるのか定かでないようなただの石ころなってしまったのである。存在価値を失った元標たちは風化し、荒れてゆき、市町村合併や道路工事などであっさりと撤去されてゆく。

 でも、運良く街や村の片隅で生き残るものもある。それを見つけておもしろがってるうちにどっぷり浸かってしまう奴もいる(俺もその1人?)。学術的、歴史的価値を見いだして保存する自治体も増えているのだが、いまひとつ認知度が低いというか、超マイナーすぎて、一般市民の大半は見向きもしないのである。わははは。

 …となると、1万の元標が一気にぼこぼこ建てられたものが戦後撤去されまくり、半分くらい残ってりゃ上々…という気もするが、これまでにいろんな方々が全国津々浦々の元標を見つけまくった結果、2010年頃には実際はさらにその半分以下の2000箇所がいっぱいいっぱいではないか、という状況が見えてきた。てか、さすがに8割も撤去されるなんてのは考えにくく、計画倒れに終わってもともと設置されなかったところも相当数あるに違いない、との見解に至っている。つまり、律儀に作った県では大量に残っている一方で、そもそも1個も設置しなかった県もあるということで。奥が深いのだ。



   ◆ 大義名分やらなんとやら

「調べる!漁る!撮る!載せる!」

 道路元標を扱っているWebサイト、全国規模からローカルレベルまでいくつかは認知しているが、おそらく管理人が載せ始めた2000年以前にあったものはすべてなくなっており、「(自称)もっとも古い道路元標に関するWebサイト」と言ってもいいのかもしれない?

 一概に道路元標というとかなり広義で、いろんな時期に制定されたいろんな仕様のものがあるが、通常というか元標を探して歩く人たちが狙っているのは旧道路法に基づく各市町村に設置したもので、ここでも主役はこれ。小さな町や村の元標ほど気合が入ってます。つまり誰もが知っているような日本橋のヤツなどはいまさら独自調査する必要もなく、ここでは無価値に等しい扱いしかしないことは了承頂きたい。

 ま、そんなわけでエリアを限定せず、あるものはひたすら取材してきて載せていくという、世間一般の人間には理解しがたく、俺自身ゴールが見えるはずもなく、めたらやたら途方もないことを延々とやっていこうという趣旨である。



 ◆ 掲載方針

 大原則。とにかく、自力で取材したものしか載せません。

 写真等送付頂きましても、管理人自身が現地へ行って確認しなければ載せません。何で「○○村道路元標」を載せてないの?と言われても、確認しなければ載せません。逆に、写真は撮ってなくても、自分が行って確認しているものであればとりあえず載せます。

 位置情報(それに付帯する情報)は可能な限りは出します。
 ・訪問のタイミングに制限がある場所。資料館など
   →時間だけでなく、開館日の制限がかなり多い
 ・保管施設側の希望により位置情報は出さないことがある
   →個別に問い合わせてください

 ここで掲載してても、民有地内など現地状況が微妙な場合もあるので十分に留意されるよう
 (20年やってきたので、どこかに以前の若気の至りの部分も残っている気がする...)


 ◆ データ等の使用について

 もちろん、内容の妥当性について保証しませんし、責任も負いません。
 で、「国道901号」のトップにも記載しましたが、

 ・ 901号で管理している情報自体の利用は可
 ・ 画像データ、レイアウトなどの表現手法の無断利用は不可

 これくらいは守ってくださいな。たのんます。



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