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・・・その名を”ななご激写大作戦”といふ。
この作戦の趣旨とは、”ななごを撮りたい”というなによりも強い思いである。
ななごに魅せられ、その魅力にどっぷりとつかったある人物のお粗末”珍”撮影記である。


”そうだ、
 仙台に行こう”



■ななご激写大作戦! Vol.三(う゛ぉりゅーむ さん)■

2005年4月×日。この日は年休申請日。最近の年休の取りにくさといったらすさまじいものがある。年休申請日にはみんな目の色を変えて前日から泊まり込む者まででる有様だ。欠員も激しいのでなかなか年休も取れない。そんな中、5月中の平日ダブル公休と併せて2日の年休を申請した。ななごの稼働率を考えると土日にまたがらない方が得策と考えたのである。

だが、かなり早いうちに提出したのに結果はボツ。ふざけるな。と思いつつ年休台帳を見ていると、なんと5月末の土日がらみダブル公休の前2日が空いているではないか!
しめしめ。密やかに年休を申請し、無事5月のおわりに4日間の休暇が取れることになったのである。


※本文中に出てくる『仙貨』とは『JR貨物仙台総合鉄道部』のことである


■ ■ ■

2005年5月×日。2ヶ月近く前に取れた年休を含めた4日間の休暇が迫ってきたある日。どうものどが痛い。しかし今年はよく体調を壊す。自分に腹立たしいぐらいにベストタイミングで具合が悪くなる。ついに風邪を引いてしまったようだ。体中の節々が痛く、鼻水が止まらない。のどは痛いし、でもなぜか熱はほとんどでなかった。

とてもじゃないが行く気分などに到底なれなかった。けっ、せっかく年休取ったけど病欠のための年休かよ!と一人憤っていた。全く使えねぇ。こういうときは人との関わりを持ちたくなくなる。
年休が取れた数日後”狭隘路線ウェブマスター”氏に密かに年休を取ったことを伝えてあった。共同作戦をしましょうよ、と。が、そのままにしていた

前日、”狭隘路線ウェブマスター”氏からメールが来た。『どうなっていますか?』。
こちらはすこぶる具合が悪い。あまり乗り気にはなれなかったが、でも行っておきたいという思いは強くある。せっかく取れた年休でもある。

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実は、今回の4日間の連休はもともと、東北地方〜羽越地方へと行こうと考えていた。黒磯止まりなんておもしろくない。仙台、盛岡、と足を伸ばそうと考えていたのである。そして、今回の最重要ターゲットとしてED75 700番台の牽引する貨物を撮りたいという気持ちがあったのだ。
700番台はED79に改造されたり、また客車列車の淘汰などでほとんどが廃車されてわずか7両が残るのみとなってしまっていた。700番台はJR貨物には継承されずにJR東日本に継承されたのも影響しているのだろう。現在の700番台は定期仕業を持たず工臨やごくごくたまにある団臨や回送列車などを細々と牽引するのみとなっているのだ。

しかし、羽越本線に昼間設定されている臨貨8881列車〜8880列車は運用がなんとJR東日本の秋田の受け持ちとなっているのである。臨貨ではあるが、700番台が先頭に立つ貨物列車を撮ることができるのだ。しかもこの臨貨は月水金とほぼ決まったパターンで運転されており、かなりの頻度で撮ることができるようなのである。まずは、これを撮りたかった。

そして、今年になりJR東日本からJR貨物へとED75が貸し出されていたのはみなさんご存じのことと思う。775号機が秋田から仙台総合鉄道部へと貸し出されていた。

これは紐解けば決して華やかな話題ではなかった。今年の雪の量は記憶に新しいところであるが、降りしきる雪に耐えきれなくなった青森車両センター東派出の機関庫の屋根が抜け落ちてしまう事故があった。このとき庫の中にいた114号機と121号機の2両のED75が押し潰され被災してしまったのだ。

2両のED75を失い、またEH500も臨時修繕などが重なり仙台総合鉄道部の所要両数が逼迫する事態となる。そして急遽700番台が貸し出され、定期的に貨物列車の先頭に立つ姿を見ることが出来るようになったようなのである。ところで、このとき被災した2両のうち114号機はJR東日本土崎工場(現秋田総合車両セ)に臨時入場し修繕しているということである。また列車の先頭に立つ姿を見れることになるだろう。

そうして、1両の700番台が貸し出されたわけであるがこの車両だけは通常の運用に流れず、ループ運用で常に同じ運用番号に入っているようだった。東仙台を出てその日のうちに東仙台に入区するA22運用だ。取り扱いも多少異なるためなのか、また借り物のためなのか常に同じ運用にはいるようにしたようである。
その運用は仙台を起点に盛岡を一往復する運用であった。

それもあって仙台に行きたかったのだ。

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貸し出されたED75もずっと貸されているわけではない。いずれ返却されるだろう。返却されれば撮ることは出来ない。

掲示板類をいろいろ見てまとめた結果は6月中旬には返却されそうと言うことだった。前回からの検査の期限具合、修繕中の114号機の出場予定などをまとめた結果だ。したがって、なんとか行っておきたいのはそういう期限の問題からもあった。

■ ■ ■

非常に具合は悪かったが、熱はない。なんとかなるかも。いや、具合悪くなったら途中で帰れば良いや。だが、”狭隘路線ウェブマスター”氏に多大なるご迷惑をかけてしまうことになる。それも嫌だった。だが、そのことを伝えてみると快く快諾していただいた。本当にありがたい。

そうして、なんとも歯切れの悪いスタートであるが、”ななご激写大作戦Vol.三”は作戦を始動したのである。。

■ ■ ■

具合が悪くなったら、すぐに帰るという条件付き。そうして、最大のターゲットは775が入るであろう、1071列車をなんとしてもゲットすること。あとは、ポンポンと仙台近郊をロケハンしてポチポチと撮って帰宅するという筋書きである。

今回の作戦ではターセル号は特休とした。”狭隘路線ウェブマスター”氏のレガシー号での豪華道中となったのである。さすがにレガシー号はターセル号とは大きく違う。一言で言おう。快適だ。だが、良いことばかりでない。快適になれば快適になるほど、燃費は悪くなる。ちなみにハイオク仕様。
レギュラー仕様で16km/l走るターセル号の気分でいるとちょっと痛い目に遭う。

だが、ほとんど運転していただき助手席でくつろぎまくって、わがまま放題やりたい放題だったことを考えると”狭隘路線ウェブマスター”氏にはとても悪いことをしたと思う。

■ ■ ■

お昼前にこちらに来ていただいて、便乗出発することとなった。

”狭隘路線ウェブマスター”氏がレガシーで颯爽と登場する。私はといえば家出でもするんでないかというぐらいの装備品の数々。はっきり言って持って行きすぎた。


無事に合流し、一路仙台を目指してスタートした。ところでお昼頃に東京を出たと言うことで、微妙に4086列車が撮ってくれと囁いているような気がするようになると、あなたも相当の”ななごマニア”と認定されることだろう。

バリ順ポイント白坂〜豊原を15時過ぎに通過する4086列車が撮れるようなら撮ると言うことで車を進める。今日の目的は移動日に徹するため、あまり細かいことはしないようにした。それでも、4086列車や5183列車をやっても仙台には十分に夕方過ぎには着く。

東北道を快走した結果、無事に白坂の例のポイントに着く。十分に撮れる。晴れていて申し分ない。これでカマがブイガマだったら言うことはないのだが、そうは問屋が卸さないだろう。やってきたカマは白パンダの重連であった。色がそろっているから良いか・・・。前回訪問に比べると草木の緑が鮮やかになっている。

ちなみにここで写した1007号機。何かと縁のあるカマで出撃するとほぼ間違いなくファインダーに収まっている。ちなみに1031号機も同様に良く会うカマだ。


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4086列車 白坂〜豊原
Canon EOS10D + Canon EF70-200mmF4L


これを撮ったら、急ぐ旅でもないのでせっかくだから、あと1時間もしないでくる紙輸送列車5183列車も撮ろうと言うことになり、シラクタに移動する。夕方の下り列車であり、逆光となってしまうために撮影地をかえることにした。シラクタはそういえば背後に山があり、それが太陽を隠してくれないだろうかと期待してそこに行った。あるいは、シラクタでも築堤を行く区間であれば、側面にはかろうじて日が当たる。とりあえず、今日は普通に直線で狙う。

この列車はとても長い。残念といえば、コキワムであること。ワムコキなら言うことはないのだが。二発目は原色(土崎色)牽引であった。


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 5183列車 白河〜久田野
 Canon EOS10D + Canon EF70-200mmF4L


今日の宿泊地は仙台である。なにしろ午前9時台に発車する1071列車をなんとしても捕獲するためだ。ところで仙台に泊まるつもりもごらんのような歯切れの悪いスタートのために宿泊場所など予約していない。どこかビジネスホテルにでも泊まろうと考えているが、そういえば仙台には厚生年金の施設があったはずだ。同じ値段なら遙かに好待遇のサービスを得られるはずである。

電話番号がわからないが最近のナビは便利である。それをもとに電話を調べて空きを聞いてみると、あいているということだった。よし今日はそこに宿泊だ。

宿泊場所も見つけて、安心して東北道を北上する。ふと、進行右手に東北線が寄り添っているのが見えた、なんと、ななご重連が下っているではないか。おそらく2071列車であろう。夕日に側面を輝かせて快走しているななごを見ながら、気づけば福島を越えていた。


おそらく、車で仙台入りするのは初めてのはずである。そう、道路系のコンテンツでいろいろ行っている割には、意外に行動範囲は狭いのだ。自家用車で東北道といったら、栗子峠の帰り道の福島が最北だっただろう。はじめての東北道をひた走る。

もう、すっかりと日は陰り仙台市内に到着する。仙台南部道路から仙台入りだ。ここで一つわがままを言わさせてもらう。宮城野貨物駅がみたいと。市街地を迷走しながら、宮城野駅に着いた。貨物本線の横が道路になっており、発着線の列車をよく眺められる。

ちょうど、ななご重連が出発待ちであった。1551列車のようだった。バルブ撮影をさせていただき、本日の宿へと直行する。温泉付きの施設であり。十分にくつろがさせていただく。なんとか、今日一日体調はもった。明日に備えて短い休息を取る。明日は、仙貨A22運用とともに動くことに決めた。なにより、撮影ポイントもわからないから、ロケハンもするという二つの課題を議論し、就寝。A22運用は朝、仙貨を単770列車で宮城野へ出て、851列車で陸前山王。そこで少し待機した後1071列車にはいるという運用だ。単770列車を狙うために、朝7時ごろに宮城野駅に向かうことにした。



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