ED75激写大作戦! Vol.三


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■二日目

心地よい朝の目覚め。まだ、このときはその名も”仙台朝のゴールデンタイム”といわれる、ななごタイムである5時〜7時までの列車を撮ることは考えてもいなかった。ともすれば、休息を取りたいためにもっとゆっくり寝ていたいと考えるほどである。それでも、今日の”獲物”であるA22運用は朝の7時10分から始まっている。そうだ。もうそろそろ宮城野貨物駅に来てしまうのだ。そそくさと支度をすませて7時すぎにチェックアウトした。

A22運用の単770列車とは、仙貨から宮城野貨物駅への送り込みである。単機回送だが実際には3重連となってやってくる。そのうち、一番最後3両目がA22運用の機関車となる。

700番台を撮るためにかなり気合いを入れている。よし。入念に準備を怠らない。宮城野周辺は先日の夜のうちにロケハンもすませた。

宿からレガシー号は朝の仙台市内を快走する!


宮城野貨物駅に到着した。

すでに単770列車は到着をしており、これより各担当列車に
入るために切り離してエンド交換したりと作業に忙しい。


前2両は白パンダである。

もちろん、大きな検査以外にも仙貨で行う、仕業検査や交番検査のような1日で行う検査がある。それがある日は当然のことながら、仕業に就くことはない。それはあらかじめ話してあった。そう、最悪の事態だけは避けたい。たぶん大丈夫でしょうなどと話していたが、そのときはあきらめるしか術はない。


3両目をおそるおそる見る。怖くてはっきりとは見れない。


なぜなら、何か”赤”の調子が違うからである。



さあ、何号機なんだ・・・!?


"ED75 1021"


あっちゃぁ〜、検査日に見事にかぶってしまったようだ!!

実は新更新色(虹もどき 虫工などとも言われる)にお目にかかるのは初めてである。こんな形でお目にかからなくても良いのではないかと内心思いながらも、美しく輝く赤い車体と対照的に心は薄暗く曇っていく。なんだよ〜、具合悪い中を無理してきてみたのに、700番台貨物はお預けかぁ・・・・・。

本来なら851列車のおかっけをするつもりだが、そんなことはどうでも良くなってしまった。ヨシッ、こうなったら何が何でもななごを撮りまくろう!



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 宮城野貨物駅 次々単770列車
 Canon EOS10D + Tamron 28-75mmF2.8

宮城野にいつまでいたってしょうがない。仙貨こと、仙台総合鉄道部を見に行ってみることにした。もちろん初めて行く。どうやっていくか知らない。ナビを頼りに仙台市内を迷走する。

仙貨に到着してまず最初にやることは、775号機の所在を確認することであった。

仙貨は長町機関区廃止に伴って出来た代替施設である。まだ新しい。行ってみると、775はなんと、交検庫にて寝ているではないか。やっぱり検査だったのね・・・・・。残念だが返却されたわけでもないし・・・、まずは望遠で狙ってみるが結果は全然撮れていなかった。

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運用離脱して休車列に並ぶ98号機

仙貨に来てまず目につくのは、構内中央に構える休車群である。色あせて当分動いてないであろう休車や、ラスナンの1039号機。先日戦線離脱をしたばかりの大王こと98号機。もう廃車だろうといえるようなDE10。そんな中に混じってEH500、金太もやっぱり休車であった。やっぱり本当に金太も休車になっているんだ・・・・。そんなことを思いながらフェンス越しにマニア行為に勤しむ。しかし、仙貨構内にはやたらに金太ばかり目につく。やはり代走しているのもこういう影響だろうか。ところで、金太は毎月と言うほどに新車がロールアウトしているが、結局、休車や運用離脱している仲間の穴埋めであり、75の運用を奪うほどにはなっていない。

東仙台寄りにも行ってみる。すると、ちょうど単772列車が出発待ちだった。なんと、先日のVol.2作戦で撮り逃がしたレインボー虫工機こと、1028号機。そしてまた相方が初めてお目にかかるひさし付きの100号機。おいしいのだか、おいしくないのだか・・・。微妙な心境であるが横からでも撮れるのは幸いとシャッターを切る。


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 単772列車 東仙台(信)
 Canon EOS10D + Tamron 28-300mmF3.5-6.3



今日のもう一つの重要なことがあった。それはロケハン。なにしろ地理不案内。めぼしいところは、断片の単語だけ。国府多賀城、明神、根廻・・・などなど。それだけしか分かっていない。

仙貨を後にして、仙台臨海鉄道との接続駅でもある陸前山王に行ってみる。

これまた市街地を迷走して、陸前山王の駅についた。当初は入る予定など無かったが、改札口の向こうで広がる光景に目を疑っていた。


なんと、機関車5重連になっている!!!!!

最初は陸前山王に留置されている休車群だと思っていたのである。そうしたら、先頭がパン上げで新更新色。さきほどの851列車を牽引してきた1021号機のはずだ。

すぐに車を降りて入場券を買い求めたのは言うまでもない。

衝突脱線事故により運用を離脱していた1002号機を含む4両の廃車前提であろう休車が留置されていた陸前山王駅。その休車に通電されている機関車が連結されている。何かの動きがあるはずだ。

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陸前山王のホームからよく見える位置にこんな痛々しいカマがずっと留置されていたのか・・・ RM誌05−5にも痛々しい1002号機の写真が載っている。


今回、盛岡(タ)へと(廃車)回送されたのは前2両の1002号機と1005号機である。運用離脱車は仙貨構内、陸前山王、盛岡(タ)や八戸貨物駅などの側線に留置されるが、どうやら距離が遠くなればなるほど、いわば廃車に近くなる留置となる。もはや八戸や盛岡にいる車が復活することはないといえる。仙貨構内はまだしも、八戸送りはいわば廃車宣告を受けたも同然なのだ。しかし、過去にはそのような八戸送りから奇跡の生還を果たしたカマたちもいる。それは、今を生きる最後の原色3両たち。

残された1036号機と97号機はすぐ数日後に後を追うように回送されている。ちなみに1036号機はもとJR東日本所属で運用減少に伴いJR貨物に売却された1両である。実はJR東日本時代に東北線の客車列車終焉を偲ぶために鈍行列車の旅を企てたことがあった。そのときのカマが1036号機だった・・・。

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すぐ数日後にこの地を去ることになる1036号機と97号機


ところで、気になることがあった。ただの線路移動ではないようである。次無動の3重連となって、引き上げ線に向かう。これはもしかして今日の1071列車を利用しての回送なのだろうか・・・。

そういえば、この日このときにはまわりには特段ファンの姿などいなかったような記憶があるが、1036号機と97号機が回送された日は別れを惜しむファンが集まったと聞いている・・・。


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 1071列車は次無動であるが3重連となる
 Canon EOS10D + Tamron 28-300mmF3.5-6.3

撮るだけ撮って、すぐに国府多賀城に移動した方が良さそうである。何しろ場所は知らない。ただ、国府多賀城は駅撮りであるから、ロケハンは容易であった。もしかしたら場所がとられているかもしれないし・・・。
有人駅であった。入場券を買って、写真を撮っても良いか改札氏に伺う。気をつけてくださいと言われ快諾していただく。すぐに上りホームに下りセットする。

実は当日撮影していて気付いたことだが、この1071列車の開通待ちといえるほどきわどい時間に上り列車がある。

先行の719系を撮り練習とする。


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 719系 国府多賀城
 Canon EOS10D + Canon EF70-200mmF4L

さぁ、そして、いよいよ1071列車・・・。あまりに痛々しすぎる姿で、ただの3重連どころか次無動の回送であることがすぐにわかってしまう。


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 1071列車 国府多賀城
 Canon EOS10D + Canon EF70-200mmF4L

こうして、もう通ることのない道をエスコートしている1071列車をファインダーにおさめる。

はて、当初の予定は775号機の登板を期待して来たのだが、この(廃車)回送という何度あるかわからない瞬間に遭遇するのはこれはこれで貴重である。775号機が3ヶ月近くに渡って特定の運用でゲットできていたのと違い、これはこの1回きりであるからだ。

お別れには、あまりに痛々しい姿が強烈な印象となって脳裏に焼き付く。別れを告げる暇もなく1071列車は行ってしまう・・・。

■ ■ ■

実はこの後すぐに下りホームに向かえば上りの75重連運用である2078列車をゲットすることが出来たのだが、すぐに改札氏にお礼を言って駅を後にしてしまった。車で機材を片付け出発しようとした瞬間。2078列車の重連が目前を通り過ぎていく。あまりに調査不足というか、前日調べてあったはずが、メモを見ていても頭が全く働いていなかったと言うことになる。

メモを見てみれば75充当列車が事細かにリストアップされていたからである。

何かさえないことが多くなりそうな気配であるが、頭が動いていない状態なので仕方ない。

頼りないキーワードを頼りにロケハンを開始することにした。まずは、明神、根廻と向かうことにした。そして、昼のゴールデンタイム?は吉田川橋梁でやることにした。一応、光線も考慮した上である。昼のゴールデンタイムといっても、4本の貨物列車が連続するがそのうちななごは92列車の1本のみである。ただし、日平にかかる運用では1070列車がななごに変運用とされるらしい・・・。

やっぱりロケハンにナビは便利である。といっても、明神は地図の字名を頼りに何となく見つけてしまったという感じだ。ただ、最初はどう撮るか悩んでしまった(だけ腕も技術もないということか・・・・)。

そう、踏切そばのお立ち台でなかなか良く撮れるのである。ただし、お立ち台のところだけなので定員はあまりないと思う。下りはといえば・・・。あまりおもしろい絵は撮れそうもない。

ちなみにかなりの前ピンであり、シャープネスでごまかしたら最悪になった。


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 5660列車 愛宕〜松島
 Canon EOS10D + Canon EF70-200mmF4L

続いて、愛宕〜品井沼に移動する。線路沿いに道を選べば、すぐにわかった。こちらもなかなかおいしい場所が多い。根廻で一言にくぐられるが、ここはお気に入りのポイントとなった。

こちらは、根廻のほうといえる。


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 701系 愛宕〜品井沼間
 Canon EOS10D + Canon EF70-200mmF4L

もう一つよく言われるコードネーム?”第二根廻”。

ここがおもしろい。といっても、最初には第二根廻自体は発見できたのだが、撮り方を間違えた。普通に撮ってしまった。これはこれで、良いのだがやっぱし小さな築堤の上から狙うのがセオリーといえる。次の訪問からは、そちらから狙っている。


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 2079列車 愛宕〜品井沼間
 Canon EOS10D + Canon EF70-200mmF4L

1時間おきぐらいにポンポンとななご牽引の列車があるために、移動しながら十分に撮影を楽しめる。ここまで撮ったら、次は92列車だ。これはバリ順であろう吉田川橋梁にしようと思う。柵もなくすっきりと撮影できるはずだ。

実際に吉田川橋梁に行くと、なるほどなかなか良いポイントである。個人的には吉田川橋梁は朝の下りがお気に入りである。今は草の繁茂がすごいだろうが、上下線間が離れており線路をくぐる道からコンクリートの斜面より容易に撮影が出来る。

ただ、上り線側は行ってみて悩んだ。望遠系のレンズにするとお尻が切れる・・・。かといって、広角にするのもなんとなく嫌だ。なんかいまいちフィット感がない。ついでに向こう岸で高圧配電線が線路を横切っているのも嫌なところである。


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 719系 鹿島台〜品井沼
 Canon EOS10D + Canon EF70-200mmF4L

結局ななごは92列車だけしか来なかった。そうただの平日だから仕方がない。

ここではじめて1031号機に出会う。と、品井沼〜鹿島台間に来るたびに1031号機は10Dのファインダーに収まることになる。全検明けからそれほどたっていないので、まだきれいだ。


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 92列車 鹿島台〜品井沼
 Canon EOS10D + Canon EF70-200mmF4L

このあとも1時間おきぐらいに列車はあるのだが、今日は撤収を決める。帰りましょうと言うことになった。この日は東北地方をすべて覆ってしまうのではないかと言うぐらいのすごい雨雲がやってきていたのである。実際に東北道で仙台から白河へ移動することになるのだが、そのときは本当にバケツをひっくり返すような雨であった。ワイパーなど全く役に立たない。どこを走っているのかもわからない。本当にすごい雨だった。それが仙台から郡山付近まで全く途切れるまもなく・・・。すごかった。

撤収はするが最後に仙貨が見たくなった。775号機がもう留置線に出ているのではないかと思ってである。利府〜愛宕間の東北線旧線に沿いながら仙貨に向かう。

仙貨に向かうと775はもう庫を引き出されて留置線に止まっている。


と、ここでヘッドライトが点灯した状態のロンチキ工臨が東仙台(信)に停車しているではないか!!

もちろん事業用の臨時列車でスジ(時間)はわからないが、これは、おそらくそうしないうちに岩切方面に向かうはずだ!

ところで、ロンチキ『工臨』である。工臨ということは、荷は貨物列車のようだがJR東日本が運転する事業用の工事臨時列車である。つまりJR東日本に在籍する700番台が牽引する!
ロンチキとはロングレール積載用に改造された長物車チキ編成のこと。


なんということだ! 荷は貨物ではないがロンチキ工臨などという珍しいものがしかも700番台牽引列車が撮れるなんて!
775号機は撮れなかったが、700番台の列車としてみればリベンジかなうか!?


すぐに東仙台(信)〜岩切間に車を走らせる。ともすれば列車は発車してしまう可能性が高い。すると、655列車が通り過ぎる。ななごの列車があったことも忘れていた。この続行だろうか?

東仙台(信)に止まっているロンチキ工臨のヘッドライトがさらに明るくなる。ヨシッ発車みたいだ。なんとか撮れそうだ。やったぁ!
ちょっと心はうきうき。すると、発車して200mぐらいからこちらに迫ってくる気配なし。おや?、あれ?。どうしたんだろ。踏切支障? 故障? 事故?


ロンチキ工臨は発車してすぐ止まってしまった。ちょうど陸橋をくぐる手前である。


と、どうしたんだろうと待っていると、そんな不安をよそに背後から654列車が迫ってくる。これもななごだが、そんなことは関係無くなってしまった。いまある事象を理解するのに精一杯だ。2分、5分・・・と時間はたっていく。

ところで、背後から列車がくるのはよいのだが、さきほどのロンチキ工臨は上り線を支障した状態で発車してすぐ止まってしまっている。当然のことながら東仙台(信)の場内はふさがっているので654列車は自分の前で機外停車となってしまった・・・。

撮れないじゃん・・・。

どうやっても、下りのロンチキ工臨がどかない限りこの上り列車は動かない。すなわち、ここでは下り列車は撮れない。

いつ動くかもわからないが、移動する。といっても、さきほど見つけたポイントが良さそうなところであったわけで、他のところからは撮れそうもない。

後に岩切の駅に行ってわかったことだが、先行だった655列車が陸前山王付近で列車故障で止まってしまっていたようである。おそらくそのために防護無線の発報か抑止の手配がとられたのだろう。だが、ロンチキ工臨は岩切行きだったので、そのまま運転させたようだ。普通電車は駅で抑止されていて、運転再開の見通しが立っていないようだった。

なんて、ベストタイミングに故障するんだ!

つい心で叫んでみたくなった。


草の陰からカマだけ何とか写したのが下の写真だ。



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 ロンチキ工臨 東仙台(信)〜岩切
 Canon EOS10D + Canon EF70-200mmF4L

とりあえず、岩切駅に行ってみる。岩切にはレールセンターがあるらしい。さきほどのロンチキ工臨は側線に止まっている。カマはすでに切り離されて、臨単として仙台に戻るために機回しをしている最中だった。

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最近では、レール輸送ですらジェイアール東日本物流のトラック輸送になってしまっているようだが(首都高で先日目撃! 以前は短いレールもチキ3車程度で工臨輸送されていたのに・・・)、さすがにロングレール輸送だけは列車で残しているようである。っていうか、こんなロングレール道路走れないし・・・。

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おそらくこのチキ車は余剰となったコキ5500型を改造した物だろうか。

本線には普通電車が抑止されている。


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 臨単 機回し中
 Canon EOS10D + Tamron 28-300mmF2.8-6.3

なんだかんだとさきほどから時間もたっている。故障した列車も陸前山王に収容されたのだろうか。普通電車が動き出した。


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 臨単 機回し中
 Canon EOS10D + Tamron 28-300mmF2.8-6.3

とりあえず、700番台を撮れたのだからよしとするべきか・・・。激写しまくる。しかし露出があがらずISO800で撮る。


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 臨単 機回し中
 Canon EOS10D + Tamron 28-300mmF2.8-6.3

雲はどんよりとたちこめていまにも降り出しそうである。岩切駅を出てもしかしたら臨単が撮れるかもしれないとまたさきほどのポイントへ。

遅れているせいもあるのか、単機だからかめちゃくちゃ早く通過していった。ただでさえ露出があがらず、それでもギリギリであった。


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 臨単 東仙台(信)〜岩切
 Canon EOS10D + Tamron 28-75mmF2.8

そうしたら、ついに雨も降り出す。それでは、仙台を後にすることにしよう。

そ・の・前・に♪・・・。もう一度だけ宮城野貨物駅に行こう。

降りしきる雨の中。最後の原色3両のうち136号機が待機していた。すさまじい雨の様子は画像からもおわかりいただけるだろうか。やはり白Hゴムはカッコイイ!!!

この一言に尽きる。


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 宮城野貨物駅
 Canon EOS10D + Tamron 28-75mmF2.8

仙台を後にする。が、雨がすごい・・・。とにかく雨がすごい。ワイパーなんて意味がない。ただ、バケツをひっくり返したような雨が郡山をすぎるまで続いていた。そう、東北地方をすっぽり覆ってしまうのではないかと言うほどの雷雲が発達していたのだ。仙台〜郡山間ずっとだからすさまじかった。

そして、そのまま帰らずルートイン白河に泊まることにした。撮り足りない。黒磯朝のゴールデンタイムをやろうということになったのだ。


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